野球が強いチーム、マナーや精神を教えるチーム、親が入れたいチーム、子供が行きたいチームなど、私が観た“気になるチーム”をご紹介!



過去の「高校野球の現場」

2006-12-26
S中・野球部
愛知県豊橋市

 講習会、2連発です。

今回は中学の選手とお母さんたちです。

中学生は本当に久しぶりです。とても新鮮でした。心が真っ新です。

 午後5時。いつものように、監督さんが講習会の意義と私の紹介をしてくれました。

「年末のお忙しい時に、この雨の中、お集まり頂きありがとうございます。(中略)

とてもお忙しいアベさんです、それではお願いします」と。

 
 私は、この様に切り出しました。

昨日は三重県伊勢市の高校へ行ってきました。ご存じの通り、“快晴”でした。

ですから、選手たちは朝から昼までびっしり、ハードトレーニングでした。つまり、昼食を摂ってすぐの講習会です。

疲れもあり、最も睡魔が襲う時間帯なのです。

選手が寝ないように話をする。並大抵のことではありません。エネルギーが2倍いるのです。

実は、晴れなら今日もまったく同じパターンでした。

ところが、このように雨が降ってくれました。練習は中止だったそうです。

おかげで、ここの選手たちはエネルギーが余って、元気いっぱいです。

雨が降ってくれて、本当にうれしかったです。(笑い)

 
 こんな調子で話に入りました。

選手もお母さんたちも、バンバン反応してくれました。

不思議なくらい、リズム良くポンポン言葉が飛び出してくれました。

選手も調子よく質問してくれました。そのタイミングが実にイイのです。

 こんな場面もありました。

一人の選手が質問しました。

「コンビニのおにぎりは良いですか?」

私はこう切り返しました。

コンビニのおにぎりは誰が作っているの?

「はい。機械だと思います」。

それでは、コンビニのおにぎりとお母さんが作ってくれたおにぎり、君はどっちがイイと思う?

「はい。お母さんのです」。

その通りだね。お母さんの作ったおにぎりは、真心がこもっています。

そう答えると、一人のお母さんがハンカチで目頭を抑えられました。

きっと、その選手のお母さんだったと思います。

それを見て、私も胸にグッと来ました。

これを・・・食育って言うんです・・。

『たべる。そだつ』って書くんだよ。


 終わった後、父母会長さん、N監督さんから次回の依頼も受けました。

今シーズン最高の出来でした。自己採点は100点です。

二度と同じようには話せません。最後良ければ、すべて良し。2006年の講習会は全て終わりました。

やっぱり私は、雨男かも知れません。



2006-12-25
K高・野球部
三重県伊勢市

K高選手たち
拍手で見送って頂きました。

 N部長に連れられて階段を登ります。

いつもこの瞬間がドキドキです。

今回はサプライズの無い日・・・。それでも、ひょっとして何かあるかも知れない。

選手が集まっている教室に入った瞬間、グッと来ました。

黒板に大きく、私を“歓迎する文字”が書かれていました。


女子マネージャーが30分かけて書いたそうです。

 胸が一杯になってしまいました。

実はこの日、私にとっても力の試されるときでした。

選手たちは午前中ハードな練習を終え、昼食を摂った直後だったからです。全員、疲れて眠そうな雰囲気でした。

 とっさに、この状態を利用し、試合に想定した内容にしようと考えました。


 君たち、勝負を最優先に考えるなら、ノーと言わなければならないときがある。

今日のおじさんがそうだよ。N先生から昼食の誘いを受けました。即座に、ノーと言いました。

なぜだか、分かるかな?

食後は吸収にエネルギーを使うから、頑張ろうというアドレナリンが出ないのだよ。逆に睡魔が襲ってくる。

ちょうど、今の君たちの状態がそうなんだ。

眠いだろう。こんな状態では試合に勝てないよね。

だから、試合前の食事は要注意なんだ。


おじさんも一緒なんだよ。いつも話しは格闘技だと思っている。ご好意にのって、食べたら負けなんだよ。

だから、N先生の誘いをきっぱりお断りしたのです。決して、N先生が嫌いだからではないよ。(なぜだか笑い)

それでは空腹がイイのか?それも違う。

この話、聞きたいかい?

(全員手を上げる)

そうか、それでは話しましょう。

おじさんは2時間前に伊勢に来て、赤福餅を1個だけ食べました。

もっと食べたかったけど、1個だけがポイントなんだ。

※コレをヒントに作ったアイデア商品が『スタミナ3点セット』です。

(中略)

 実は、このK高は伊勢神宮(経営)の学校だから、まず参拝をしてから学校に来たんだよ。

いいかい。物事って順序があるんだよ。

君たちもいずれ車の免許を取る。車を買ってから免許を取るかな。

必ず、免許を取ってから購入するだろう。

この順序を間違えると、目標には達成しない。

これから話す体作りも一緒なんだ。

(中略)

 キャップテン、最後の君の質問は素晴らしかった。

チームのことをいつも考えているからできる質問だよ。

キャップテンから昨年話した『ウサギとカメ』の話をリクエストされたのです。

 こんな調子で無事終了しました。

みんな、よくあの状態で頑張って聞いてくれました。これもトレーニングです。

私の“話す格闘技”は、今回自己採点では不合格。

でも、今までで一番勉強になった気がします。


最後に、大事なことがひとつ。

あの“話すことが苦手なS君”が、この中(40数人)に居たはずです。

しかし、最後まで分かりませんでした。

 講習会終了後、応接室でN部長が言われました。

「アベさんの正面に居た子がSです。アベさんが質問して、普通に応えていたから気づかれなかったんですね」。

聞けば、どんなことでもとことん努力する選手らしい。

S君、来月も電話くれよ。待ってるよ。顔は覚えているから。


 N先生、今回はサプライズが無い予定だってお聞きしていましたが、すごいサプライズでした。

終わったあとのN先生との話も楽しかったです。もっと話して居たかったけど、これも『ノー』と言わざるを得ませんでした。

明日も講習会が続くからです。

ありがとうございました。



2006-12-12
I高・野球部
滋賀県米原市

 まず、グランドの広さに度肝を抜かれました。

T監督は私のイメージ通りの人でした。

このチームを、いつかは・・・・。

この思いが、何処の指導者よりも強く感じられました。

 午後5時半。

練習の途中で、選手全員ベンチ前集合の合図。

そこでT監督から私を紹介してもらいました。

そして“ひとことの時間”を頂きました。

整列した選手たちの前で、

かなり当てずっぽうに。

「はい!君がキャップテンだろう」。

びっくりした表情で。
選手その1
「ハイ!」。

偶然当たって、内心ホッとしながら・・・。

「はい、君。おじさんは何で彼がキャップテンだって、分かったと思う?」。

選手その2
「ハイ・・・・。おじさんの一番近くにいるからではないでしょうか」。


「正解です。君は賢いねぇ」。


「キャップテンは常に、話し手の一番近くに居る。こんなチームが強くてまとまりのあるチーム。このI高は理想のチームだよ。甲子園は近いね」。

こんな調子で、時々笑いを取りながら話を進めました。

が、キャップテンが外れた場合は、もっと受けていたかも・・・。

それにしても、あの時間帯のグランドは寒かったです。


 T監督さん、お土産に頂いた無農薬の野菜ありがとうございました。監督さんのお父さんが作られたそうです。

とても甘くて美味しかったです。さっき、水炊きで食べました。

あの太いダイコンもかなり甘かったです。

余談ですが、ダイコンは寒いほど甘いです。これは糖を根に溜めないと凍ってしまうからです。

選手たちは寒いほど、筋トレをやって筋肉を溜めます。

I高のある米原市はとても寒い地域です。



2006-10-09
Y高・野球部
愛知県弥富市

 1年生約30人と保護者の講習会をやらせて頂きました。

やっぱり、何度もやっているチームはずいぶん気が楽です。

会場の左右に分かれて、保護者と選手です。

いつもの様にT監督さんが講習会の趣旨をお話され、私を紹介していただきました。

最近の私はパフォーマンスを意識しています。

どんなに暑くても上着を脱ぎません。汗をびっしょりかきながら、オーバーなジェスチャーを交えて話を進めます。

時々、黒板に絵や字も書きます。

指示棒もポケットからサッと取り出して、パッパッっとやっています。

たぶん、聞いている人たちは一生懸命やっているなぁって、感じると思います。

それが狙いです。

最近、そのことに気づきました。

人にモノを伝えることは、容易なことではありません。

店に来て頂けるお客さまと、同じではありません。

講習会では、全員がその話が聞きたいわけではないからです。

前置きが長過ぎました。

 Y高の講習会はとても盛り上がりました。1年生なのに、選手や保護者からも質問が出たからです。

後ろの席のお母さん、“あの食事の質問”は良かったです。私もグッと乗れました。

フルマラソンを完走した話までしちゃって、どうもすみませんでした。



2006-09-25
県立H高・野球部
静岡県浜松市

 今夏、甲子園まであと1勝でした。そして、初めて訪問するチームです。

講習会会場に案内されると、監督さん以下選手と保護者が席に着いています。

そして、女子マネージャのSさんが私を紹介してくれました。次ぎに、Kトレーナーが同様に私の紹介です。

長年、講習会をやらせていただいておりますが、女子マネージャーから紹介されたことは初体験です。

感激で胸が一杯になりました。

いつもと勝手が違い、この時点で、ど緊張です。

最初の3分間を乗り切ると、やっと自分のペースに持ち込んで、いつもの調子が戻りました。

時々、笑いも取って1時間半、予定通り終了しました。

それにしても、とても好感が持てました。みんながまんべんなく質問するのです。

その質問も、なかなか味のある質問でした。

「プロテインを飲み過ぎた時の副作用は?」

「サプリメントを何種類か摂ると、効果が薄れますか?」

「体脂肪を落として筋肉を増やせるサプリメントは?」

「練習前にパンとスーパーズドーン飲んでます。これはイイですか?」

お母さん方、よく笑って頂いて嬉しかったです。楽に話が出来ました。ありがとうございました。

 その後の監督さん、コーチのと懇親会はとても楽しかった。監督さんがあんなに面白い人だとは思いませんでした。

Kコーチが夏の大会前に来店され、そこからのお付き合いでした。Kコーチの脇役ぶりは、みごとです。



敗れた時、何を語るか。指導者からの言葉
2006-07-25
K高校(三重)N部長

 夏の大会に四回戦で負けちゃいました。
9回サヨナラの逆転負けですが、不思議に冷静でした。ベスト8以上が目標でしたがあと一歩足らないのは何か、課題です。

8月はじめの土佐高・松山商業遠征で、答えを探します。「高校野球の原点」探しの遠征になりそうです。

それにしても、高校野球は、ある日突然終わるので、日々の”覚悟”が試されているみたいです。


2006-07-24
KK高校(三重)N監督

 正直なところ、ここで負けるとは思っていなかったので氣の利いたことが全く言えませんでした。

ただ、3年生に「頑張ってくれてありがとう」「大会はここで負けはしたけれども、永遠に続けていきたいKK高の歴史の土台を創ってくれた」 「1・2年生はその土台の上にきちんとした土台を立てていこう」という話をしました。

しかし、時間が過ぎるごとに悔しさが増してきてしまします。なかなか次へのスタートを切るきっかけが掴めません。



2006-07-10
H工高・野球部
愛知県

 H工高、講習会3連発でした。

1回目は午後1時から3年生17人、2回目は午後1時40分から2年生23人。最後に午後2時過ぎから1年生22人です。

事前にI監督さんより、各学年別の特徴が書かれたメールを頂きました。

「3年生は就職です。生涯スポーツにつながるような話をお願いします」。

「2年生はセンスがありますが、大会前の硬さが出て来ました。新チームをにらんだトレーニングも自主的にやり始めております。今ならパワーアップの話も頭に入ります」。

「1年生は基本からすべてお願いします」。

 と、言う細やかな指示メールでした。

文字数にしてA4版一杯です。深夜、日付が変わった頃までかけて打たれた様です。

選手に対する愛情が見て取れました。3年生には、元気が出るとっておきの話をしました。

2年生にはあの、K高(三重)S選手の話をしました。うまく話せないことを克服するため、クラス委員に立候補し、月に1度私と電話で話していることをです。

途中で私の胸が一杯になってしまい、話が出来なくなってしまいました。涙をこらえるのがやっとでした。

あとで、監督さんが2年生には最高の話しでしたと言って頂き、救われました。確かに、何人かの選手の目は真っ赤でした。失敗の話が結果的には良かったようです。

最後に1年生です。さすがに、講習会3連発目は声も枯れました。何度も出された“はじめ”を飲みながら頑張りました。

 講習会終了後は監督さんと、食事をしながら反省会をやりました。野球のこと、選手のこと、これからのこと・・・いつまでも話が尽きませんでした。

 1日、講習会3連発は初体験でした。疲れましたが、面白い1日でした。



2006-05-30
H高・野球部
愛知県

 1年生19人の講習会でした。

 始めにT監督がこの講習会の趣旨を話されました。そして、例年のごとく、私を紹介されてさっさと教室を出て行かれました。

選手への配慮です。

この方が、選手が気楽に質問が出来るからです。

 T監督の教室采配もズバリ的中でした。19人全員が質問したからです。多い選手は5、6回手を上げました。

1年生はまだ、監督さんのことを知らないので、代わりに私が話します。

前任の学校時代のことから、今日に至るまで。

これが、けっこう裏話になって選手受けします。これも私の大事な仕事です。

 さて、今年の1年生はすごくでっかい体格です。

65`以上の選手が半分いました。そしてみんな、飛び切り明るいのです。

午後5時前から始めた講習会ですが、あっと言う間に午後7時を回ってしまいました。

終わろうとすると、また選手が質問するのです。

講習会終了後、1年生だけは帰宅できるはずですが・・・。このハングリーさがH高の特徴なのです。

H主将の締めの挨拶で無事終了。

 私は職員室へ。しばらく、Y部長の事務処理を見学させて頂きました。

あふれる書類の山に、唖然でした。

 午後8時、2、3年生の練習が終了。

ここでも、大会前のコンデションについて、ひとこと話をさせて頂きました。

 その後、Y部長や奥様、Nコーチ、Sコーチらと懇親会をやり、深夜に帰宅。

終始、笑いが絶えない一日でした。

 5月だけで4回、毎週講習会は初めての経験でした。また、今年はここまで10回やりました。

これも最多記録の更新です。



2006-05-22
KG高・野球部
三重県三重郡

 初めての学校の講習会でした。

選手33人と保護者です。とても明るいチームなので選手、保護者から終始笑いが絶えず、話がとても楽でした。

個々の選手は能力が高く、話しを理解している様子がよくわかりました。

 ここの監督さんは今年大学を卒業し、就任されたばかりの新人監督です。

「このチームにとって良いこと、と感じたら、どんどん取り入れて行きたいと思います。僕の恩師(N監督)もそう言う人でしたから・・・」とM監督。

選手たちもよく質問してくれました。最後にキャップテンが立派な1分間スピーチをして終わりました。

 なかなかのチームです。



 講習会2連発です。興味がありましたら、どうぞお付き合いください。

2006-05-03
KK高・野球部
三重県桑名市

 Wヘッダー後の保護者・選手合同の講習会でした。

気力、体力、エネルギーを使い果たした後で、人の話を聞くK高の選手たち。

それを考えたら、この日の彼らは全員合格です。N監督就任3年目で、かなりチームが変わりました。

まず、チームが明るくなったこと。ライバルのK高(伊勢市)の話をしたときには一瞬、みんなの目が輝きました。

K高・O監督の言われた通りでした。

席の後ろには、指導者と保護者たち。そんなプレッシャーの中で、みんな良く質問したと思います。

中でもユニークな質問は「アベさんのお勧めはなんですか?」。

こんな質問が出来る選手なら、間違いなくやってくれます。

 この日、K高時代(桑名市)のN監督の教え子も、講習会に参加されました。

大学卒業と同時に教師、同時に野球部監督です。背が高く、好青年で講習会時もひときわ目立ちました。

聞けば、N監督の教え通りの野球をやられているそうです。この師弟が組んだら、すごいチームが出来るだろうなぁと、思いながら帰って来ました。



2006-05-02
T高・野球部
岐阜県多治見市

 T監督の挨拶から始まりました。

 「ボクが現役の高校球児だった頃、1日に6杯のドンブリ飯を食べていました。それでも、体重は63`です。レギュラーで一番小さかったのです。

監督になった今、体重は69`に増えました。バッティングすると、選手の誰にも負けません。だから、カラダを大きくすることが何より大事です」。

 保護者と選手約70人です。私の持ち時間は1時間。いつもより、ちょっと早口で飛ばしに飛ばしました。

選手やお母さんたちが話に相づちを打ってくれたので、どんどん乗って話せました。

話し手と聞き手のバランスが、ピッタリ合ったようです。

午後7時から、それも保護者会や試合の後、疲れ切った選手たちのはずなのに、まったくそんな気配がありません。

むしろ、ますます元気で質問もポンポン出ました。

 
 これは講習会の裏話です。(T高のことではありません。いろんなチームで話して感じたことです)

時には逆の場合もあります。話の途中で目を逸らされると、それ以上話すのを止めて話題を変えます。

と言うか、変えざるを得ません。それ以上続けたら、寝られてしまうからです。

話し手の見極めが試されるところです。

必要なことでも簡単に終え、質問で取るように仕向けますが、そんなチームに限って質問が無いのです。

ですから、講習会は飽きさせない様な、沢山の話題が必要です。

したがって、話の長短は聞き手次第とも言えなくも無いですが、これは私の言い訳です。

聞こうとする集中力が続かない時、またはここ一番の時、決め手があります。

途中でガラナ・キャンディーを配るのは、そんな意味があります。

ガラナは頭が活性し、眠気が吹っ飛びます。キャンディーの糖質は頭の回転を良くします。

1粒で、ガラッとチームの空気が一変するのです。


 話を戻して、最後に、私自身とK高のS君の話をした時のことです。

びっくりしました。

この日、一番前の席に座り、3回も質問をしたI君(2年)もS君と、まったく同じ悩みを持っていたのです。

これをシンクロナイズというのでしょうか。

話すことが苦手で、それを克服するために、自ら頑張って質問する。

学級委員にすすんで立候補する。そのひたむきな努力は、みんなの手本と、今日の試合に初スタメンでした。

「期待に応えて、見事なヒットを打った」と、監督さんが話してくれました。


 今度は懇親会時に紹介された、中学講師で野球部顧問のY先生。高校時代は何をやってもダメ。

やるポジションが無いので、アンダースローの投手をやらせたら、見事に開花した成功者−T監督談。

その勢いで大学に進み、4年間野球部のトレーナーを続けて、指導者の道を歩むことになったそうです。

「あの時、『投手』という発想がなかったら、今のY先生は無かったかも」と、T監督。

本当に、人生とは分からないものなのです。教育とは、こういうことなんだと、実感した日でもあります。



2006-04-26
SG高・野球部
愛知県名古屋市

 昨年までは総部員6人。今年は23人の新入部員が入りました。

 指導者もA監督以下、副部長にI先生、コーチはS先生がこの4月から加わりました。部長職は教頭先生で、いかに野球部への期待が大きいか、わかります。

 講習会は午後4時から始めました。いつものように、自己紹介から入り、このチームを見た感想と続けます。

最近の他高の話などをして十分、選手を引きつけてから、本題の話に入りました。

話題をころころ変えて、とにかく話が飽きる前に例え話です。

 難しい話は、誰だって聞きたくありません。自分が強くそう思うので、その点を一番ポイントにおいて話を進めました。

 このチームの見所は、A監督の強い指導力です。個性も、めちゃくちゃ強い監督さんです。

それだけに、6人の新2年生の成長と、たくましさに見てとれました。

全員の体重が半年余りで5`〜10`増え、あんなに大人しかった子がどんどん質問をしたのです。

疑問を持たなかった子たちが、この1年間で問題意識を持つ力を付けたのです。

高校に入ってから野球を始めた6人だから、尚更です。体とともに、精神も強くなったのです。

 懇親会時、A監督から感想を求められたので、そのことを話すと、とても喜ばれました。

 この日、最近あった取って置きの話をしました。あの「イジメられっ子の空道部」の話です。

その時、選手たちと指導者たちの目、恐ろしいくらいの視線を感じたのです。眠そうだった子も、目を見開いて聞き入ってくれました。

 実は、このチームにも同様の選手が居たのです。

2年生で、この日一番質問をした選手は、中学時代不登校だったらしいのです。今は、彼が学校のパンフレットの一面を飾っています。

競技は違っても、どこかに共通点があるものです。それを話題に出来た快感は、体験したものにしか味わえない特権なのです。

 コレはある経営コンサルタントの言葉ですが、「売るのは、モノではなく、ストーリーのある心なのです」。

なんだか恰好良すぎますが、何となくわかる気がします。

来週は岐阜と三重です。毎回同じ話題では、恰好悪すぎます。

私にとっての講習会は、新ネタを試す絶好の機会でもあります。あたらしいチャレンジには、失敗もつきものです。

しかし、その失敗も次ぎには、ネタに出来るのです。いや、失敗ネタほど、人を引きつけるものはありません。

人がおもしろいのは、成功なんかより、失敗なのです。



2006-04-18
TO高・空道部
愛知県豊田市

 昨日、日本で唯一、空道部(格闘技)のある高校へ行って来ました。

 空道は顔面攻撃ありのフルコンタクト空手です。当店のお客さまにも愛好家が多いので、過去に一度だけ試合を見たのですが、素人には恐すぎました。

 実は、前日その高校の監督さんがご来店されました。なぜ、高校に空道部を作られたのか。熱い胸の内を語って頂いたのです。

 部活が始まる午後4時過ぎに、学校へ行きました。道場は校舎の裏にあり、天上からサウンドバッグが4つ吊り下げられ、床は柔道用の畳が敷かれていました。

 部員10数人がやるには十分な広さと環境です。ところで、この空道をやるような選手たちはどんな子なんでしょう。

 実は、半分がひ弱なイジメられっ子だそうです。何しろ、この部を引っぱっているのは、紅一点の3年のSさんです。

 声も彼女の「オッス!」が一番大きい。明るいキャラクターは学校の人気者だそうです。ですが、彼女に続く、女子はいません。

 男子は入部したい子がいっぱいいるそうですが、逆にからかわれたりすることが恐く、門をたたけないそうです。

 この日はI君が昇級しました。青帯から黄帯になったのです。

 「あの子は典型的なイジメられっ子です。それに持病もあるのです。ですが、1年よく頑張って来ました」とY監督。

 午後7時頃まで、練習が続きました。最後に、相手を交替しながらのフルコンで終了です。

 感心して見ていた私に突然、監督さんから「この子たちにひとことお願いします」。

 「この子たちはこうして見てもらえただけで、うれしいのです。今は空道が自分を表現できる、唯一の手段なのです」。

 その後の懇親会も、時が経つのも忘れて話し込みました。監督のY先生の熱い思いと情熱は、どこからわき出てくるのだろうと、そればかり考えさせられました。

 「野球部の子たちは殆どが体育が5です。うちの部は正反対の子たちです。指導法はまったく違いますね」。

 Y先生は過去、野球を指導され、甲子園ベスト4まで導かれた実績もある人です。

 ところで私の話ですが、高校唯一の部なので、対戦相手が社会人。その点を考慮した簡単な話にしました。

 その社会人と「対等に戦える食事のネタ」です。練習後でしたので15分間だけ、お付き合いいただきました。

 部員の生き生きした表情が、いつまでも印象的でした。



2006-04-15
TH高・野球部講習会
愛知県

 初めての学校です。学校が休みなので、会場は中央公民館の会議室でした。

 参加者は選手とマネージャー58名、保護者も10名ほど参加されました。初めに監督のH先生から講習会の趣旨と、私を紹介して頂きました。

 淡々と話されるH先生の言葉に、野球に対する強い執念を感じました。

 自己紹介のあと、特に公立校の成功例中心に進めました。TH高も公立なので、奮起を促すにはコレが一番です。

 例によって席の中央一番前に座った選手が、私の相棒の様なものです。何かある度に、「はい、○君、どうなの?」。

 この日はとても運が良かったと思います。前の3人が主力だったからです。しかも主将と投手です。

 1時間半後に休憩を取りました。すかさず、主将が私に声を掛けてくれました。

 「(話が)思っていたより、全然イイです」。この一言は本当にうれしいものです。それに、気遣いはさすが主将です。

 厳つい顔の中年おやじが壇上に上がった瞬間、そりゃ誰でも緊張します。そのことは私自身が、一番分かっております。

 顔は変えようがありませんが、笑顔を見せることで選手たちの緊張感がほぐれます。同じ目線で話し掛けることで、親しみが生まれます。

 これは常に気を付けているポイントのひとつです。

 以前、こんな話を聞いたことがあります。

 「講師は成功・失敗が即座に現れる仕事である。失敗すれば実に惨めである。何よりも自分が一番惨めである」。

 私も失敗して惨めな思いを体験しています。そんな苦い経験も講習会時に話しています。

 実は昨年、K高校(伊勢市)でその話をしたときに、ある選手から1通の手紙をもらいました。

 その手紙は主将に読んでもらいました。

 「僕は話が苦手です。でも安部さんも苦手だったのに、いつのまにかそれが仕事になっていたこと。人生は何が起こるかわからないのだなぁ、と言うことを改めて実感しました」。

 「話をお聞きして、いつかはこのツマってしまう症状を治してやる!と、もう一度決意を固めることが出来ました」。

 その選手は学級委員をやっています。弱点克服のため、自ら立候補したのです。野球では1年生大会優勝の立て役者でした。

 3塁コーチャースボックスに立ち、「コーチの力で5点取った」と監督に言わせたのです。

 上手く話せない分、体の動きで伝えることが抜群にうまかったのです。

 ハードルを越えるのは自分です。そして、自分の何がチームに貢献できるのか、それを決めるのも自分です。最高のお手本が身近なところにあったわけです。

 この話もTH高でさせて頂きました。私も話していて目頭が熱くなりましたが、人の気持ちを動かすにはそのくらいの熱い気持ちが不可欠です。

 思うに、おもしろい話は潤滑油ですが、印象には残りません。感動的な話は長く人の心に残ります。

 改めてそのことを実感した一日でした。

 この原稿を書いていると、電話が鳴りました。TH高選手のお母さんからでした。注文の最後に「昨日はいいお話をありがとうございました」と言われました。受話器を持って深く一礼です。

 なぜ、サプリメントの講習会にこんな話が必要なのか、疑問の方も多いと思います。

 要するに、最後は気持ですから「やってやる」と言う気持を、いかに強く選手に持ってもらうか。

 限界まで挑戦し、それをクリアーした人だけが得られる何かがあります。

 それを情報として伝えることが、私の役割と自分では理解しています。私自身も脱サラ、起業を経験しているから尚更感じています。

 単に商品説明だけでは、とてもサプリメントの重要性は個々の選手に伝わりません。

 その点では、今回も何とか合格点だったようです。来週は名古屋市のSG高、翌週は岐阜のT高と続きます。

 今日の定休日は話のネタ探しです。あるところへこっそり行ってみるつもりです。

高校野球の現場